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人手不足への新たな解決策 ― 訪問系サービスに広がる外国人材の活用

◆外国人介護人材(技能実習生や特定技能外国人)の訪問系サービスの従事について

2025年4月から、技能実習生や特定技能外国人も一定の条件のもとで訪問系サービスに従事できるようになりました。これは、介護業界の人材不足の解消に寄与するとともに、受入事業所にとっても新たな戦力を確保できる大きな機会となります。

今後の人材確保の選択肢のひとつとして、外国人材の受け入れを前向きに検討することは有効な対応策です。適切な研修や支援体制を整えることで、外国人介護人材の定着やサービスの質の向上にもつながります。

 

◆外国人介護人材が訪問系サービスに従事する際の要件

対象サービス

 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護 

定期巡回・随時対応型訪問介護看護、訪問型サービス(総合事業)など

外国人本人の要件

1.介護職員初任者研修課程を修了していること。

2.日本国内で1年以上の介護業務の実務経験があること。

受入事業所の要件

1. 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと。

2. 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと。

3. 外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること。

4. ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること。

5. 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと。

1から5の事項を適切に履行できる体制・計画等を有することについて、事前に巡回訪問等実

施機関に必要な書類を提出し、適合確認書の発行を受けることが必要です。この書類がない場合、訪問系サービスへの従事は認められません。

加えて、利用者やその家族に対して、外国人介護人材が訪問する可能性があることや、実務経験等について事前に説明し、書面で同意を得る必要があります。

◆想定される働き方のケース

例:施設系→訪問系サービスへの配置

技能実習生:インドネシア出身Aさんの場合(原則転職不可・同一事業所内での配置転換)

・認知症対応型共同生活介護事業所で技能実習2年目。

・介護職員初任者研修を修了している。

・同一法人内に訪問介護事業所があり、法人がAさんについて適合確認書を取得。

・配置転換として同一法人内の訪問介護に従事する。

※2027年より技能実習制度に代わって創設される予定の育成就労制度でも、一定の条件の

下で訪問系サービスへの従事が認められる見込みです。

 

例:通所系→訪問系サービスへの配置or転職

特定技能外国人:ベトナム出身Bさんの場合(分野内転職可)

・通所介護事業所で特定技能2年目。

・介護職員初任者研修を修了している。

・同一法人内に訪問介護事業所があり、法人がBさんについて適合確認書を取得。

・配置転換として同一法人内の訪問介護に従事する。

・介護分野での他法人への転職も可能。

(訪問系サービスに従事する際には転職先の法人でも適合確認書の取得が必要)。

 

今回の制度改正により、介護保険の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでも、訪問介護として外国人介護人材によるサービスを受けることが可能となりました。これにより、外国人材の活躍の場はさらに広がることが期待されます。